【元毎日新聞記者の西山事件】俵孝太郎の西山太吉氏の評価

【元毎日新聞記者の西山事件】俵孝太郎の西山太吉氏の評価

沖縄返還協定で米国が支払うはずの400万ドルを日本が肩代わりするという「密約」。この機密外交文書を元毎日新聞記者の西山氏が不正に入手した事件。
いわゆる西山事件。

外務省の女性と「不倫関係」になり外務省の極秘情報を入手。
野党の社会党(横路孝弘議員)に渡した。
よって、西山太吉氏の評判は悪いものが多い。

偏っていない意見?として、評論家の俵孝太郎氏を紹介します。
「彼(西山氏)は、目上の記者にタメ口をきく。態度がでかいから『ふと吉』と呼ばれていた。しかも群れをつくらない一匹狼。ナベツネ(読売新聞主筆:渡邉恒雄氏)から、『ふと吉』の弁護側の証人にと誘われてけれど、断りました。取材の仕方がひどいからね」

当時、俵孝太郎氏は西山太吉氏と外務省記者クラブに属していました。
外務省記者クラブに属していた俵孝太郎氏の西山太吉氏の評価は厳しい。

俵孝太郎氏の略歴:東京大学卒、産経新聞に入社、退社後フジテレビのニュースキャスター。冒頭の挨拶「こんばんは、俵孝太郎です」の特徴あるイントネーションをビートたけしさんが、よく物真似をしていました。

作家の澤地久枝氏の西山太吉評

作家の澤地久枝氏はこのように述べています。
「男女関係という個人的なことと国家的な犯罪では重さが全く違う。それを検事が書いた『情を通じ』という馬鹿げた文言で問題をすり替え、世論も動かした。蓮見さん(不倫相手の女性)は、その表現を身を任せるように悲劇の人を演じた。西山さんは悪い女に引っかかったと思いました」

西山太吉氏「擁護」の言葉を述べています。

仮に、悪い女に引っかかったとしても、不正に機密文書を入手する手法は正当化できないでしょう。

当時の西山氏は妻がいて、外務省勤務の女性にも夫がいました。

評論家(兼作家)の門田隆将氏はTwitterで「外務省の女性秘書の手記を読んでほしい。当事者でなければ明かせない女性秘書の渾身の告白を読めば分かる。胸が締めつけられる手記」と書いています。

外務省の女性の手記内容

外務省の女性の手記内容を簡単に紹介します。

私にふりかかったいまわしい事実だけは、私の弱さとともに神さまに懺悔するような気持ちで、いまハッキリと告白しておきたい。
「ぼくは君が最初から安好きだった。ぼくは毎日のように外務審議官室に行くのも、実は君の顔が見たかったからだ。ほんとに、ぼくは君の顔を見ると、たまらなくなる・・・」

あとは「君が好きだ」を何度も何度も繰り返した。
「ぼくはほんとうに君が好きだなあ。Aさんは個性的だよ」

私は、西山記者の言葉に酔わされ、流され、とうとう最後の一線を越えてしまった。

一線を越えた後

西山記者が、いくらかきびしい目つきをして、私に「頼みたいことがある」と語りかけた。

「実はぼくは、近く記者としての生命を絶たれるかもしれない。ぼくは記者としての生命を絶たれるんだ。もうダメになってしまうんだ。外務省の書類を見ないと記事が書けないんだ。安川(審議官)のところへ来る書類をこっそり見せてくれないか」

「ぼくを助けると思って頼む。安川にも、外務省にも絶対に迷惑をかけはしないから。ただ参考にするだけなんだ。見せてもらった書類はその場で返すから・・」

手記の最後には

主人と私の結婚生活もついにピリオドを打つ時が来た。西山記者と毎日新聞は私の最後のトリデである家庭までも破壊してしまった。

私は私の半生を孤独に生きるべく運命づけられた。しかし、これも私の人間としての弱さから出たことだと思って、あきらめざるを得ないのであろうか・・。

最後に、外務省のみなさんや世間のみなさんに深くおわびします。

機密文書を西山氏に渡した外務省の女性の夫は病気で収入面で女性が家計を支えていたようです。
事件が発覚したあとの様子の手記

「オレのちょっとしたミスだった。オレはいまの君を心配している。ともかく君には即座に外務省をやめてもらう」

「外務省をやめてもらう」と聞いて、私は跳び上がった。

「やめる? やめたら困るんです。そんなことはできません。私には主人がいるんです」

と、ほとんど叫んでいた。病身の夫はやむなく私の細腕を頼りにしているのである。いまやめたら、いったい二人はどうなるのか。しかし、西山記者はやや冷静に、

「ともかく外務省はやめてもらう。君のことは社をあげて考えている。政治部長も動いている。退職金もこっちで考える」

逮捕された外務省の女子職員は、取り調べで西山氏を庇う発言をしています。

逮捕二日目、取り調べ室で真実を語り始めたAさん。向かい合った刑事は「Aさん、こういうところに来て、人をかばったって仕方がないよ。あんたのほうが人を信じていても、相手はあんたのことなんか考えていないかも知れない。人間はみんな自分の身がかわいいからね。

この不倫に関しては、外務省の女子職員の夫
そして西山氏の奥さんが気の毒だったとしか書けません。

一番辛辣な評価

西山氏への一番辛辣な評価をしているのが、高山正之氏。
「太吉は特ネタを取りながら、なぜか書かなかった。何週間も寝かせてから横路(社会党議員)の許に持ち込んだ。それで(佐藤)栄作を政権の座からひきずり下ろそうとしたのは一目瞭然だった」

「毎日新聞が太吉擁護に言い立てた『国民の知る権利』はまったくの的はずれだった。おまけに太吉はネタ元の女性事務官の名を隠しもしなかった。醜い話だ」

ちなみに高山正之氏のコメントは超辛口で有名です。

俵孝太郎氏の西山太吉氏の評価も厳しいものでした。
この事件を知る人も少なくなり、ますます風化していくことになるでしょう。

記事内容は、「週刊新潮」の記事を参考にしています。
写真は公演依頼.COMから