【税金の勉強】ジャニーズ、お年玉と補助金税金もれで追徴課税

ジャニーズが「お年玉」と「補助金」税金もれで東京国税局から追徴課税

ジャニーズ事務所が「お年玉」と「補助金」の税金もれで東京国税局から追徴課税されました。
この東京国税局からの追徴課税の件は、数社の新聞記事となりました。

ジャニーズ事務所が脱税?
税金をごまかしたの?
誤解される人がいるかもしれませんが、ジャニーズ事務所はきちんと税務申告をしています。

新聞で掲載されると勘違いする人が出てきます。
記事は書いたが、背景や解説が書かれていないため、多くの新聞読者はジャニーズ事務所が税金をごまかしたと勘違いしたはずです。

税務処理をごまかすことなく税務申告を行ったが、国税局に調べれれたら修正すべき指摘を受けましたという理解でいいです。
脱税とは違います。

監査役が大放言「不問にしていい話」

週刊文春23年1月19日号の記事の見出しが「ジャニーズ監査役が大放言、追徴課税は〖不問にしていい話〗」

結論から書けば
ジャニーズ事務所の監査役が言う通り、全く問題なし。
一般企業の100%が指摘を受けているような内容です。

国税局は定期的に調査を行っています。
ジャニーズ事務所も3年~5年に1度程度は調査されているはずです。

国税(税務署)が調査した会社は税金を取られます。
どの会社も追徴課税は100%取られます。
週刊文春しかり、読売新聞しかり、朝日新聞しかりです。

国税局の人が会社で来て(調べて)1円もお金を取ることなく国税局に帰っていったら、その調査に行った国税局の職員は、それこそ「税金泥棒」です。

何のために調査しに行ったんだよ、しっかりと税金を取って国庫に納めさせろよ、という話です。給料をもらっている以上、税金を取るのが国税局の職員たちです。
外国のことはわかりませんが、日本ではこれが普通のルールです。

ジャニーズ事務所の監査役の経歴

ジャニーズ事務所の監査役(小亦監査役)は、元国税職員。
東京国税局では査察に携わり、最後は元麻布税務署長で退任。
麻布税務署はジャニーズ事務所の管轄の税務署。
ジャニーズ事務所の税理士を務め、2019年からは事務所の監査役に就任しています。

麻布税務署は格上の税務署のはず。
国税局の中で出世し、実力のある税理士。
実力のある税理士とは国税局との交渉で力が発揮できる税理士という意味です。

監査役は「読売が醜(みにく)すぎる」
「あんなの期ズレだから。入金ベースで計上しているのに(国税は)申請した時に計上しなきゃいけないとか言って。不問にしてもいいぐらいの話なんですよ」

ジャニーズ事務所の小亦監査役の発言は、至極まっとうな意見です。
100%正しい意見というか120%ぐらい?正しいことを言っています。

新型コロナ禍でコンサート中止に伴う補填金。
「補助金」の計上時期についての見解の相違です。
2021年にすべきか2022年にすべきかの違いです。

2021年と2022年の2年間という期間で考えれば、税金の支払額は同じです。(厳密には計算すれば少し違ってくるでしょうが)
会社の法人税は「会社の利益」に「率をかけて」計算します。

ジャニーズ事務所は補助金が2022年に支払われたので、2022年に利益に計上しています。
これについて
あなたは、どう思いますか?

きちんと経理処理していますよね。

補助金の税金もれは、どういうことか

他の報道機関は「期ズレ」の指摘は普通のことだから報道していないのに、なぜ読売だけ?が記事にしているのは、おかしいのではないか。
監査役はこのようなことを言っているはずです。

監査役が言う「期ズレ」とは何か
国税側は2021年に、補助金の申請を出したのだから2021年に利益を上げておくべきとの見解
2021年と2022年の2年間という期間で考えれば同じなのです。
これが監査役が言っている「期ズレ」の意味です。

期間のズレ
経理経験者でないと実感できないかもしれません。
普通の感覚なら、22年でキチント処理しているからいいじゃん、と思うかもしれませんが、国税は2021年に利益となるものは2021年にすべきと解釈します。
早めに利益になれば早めに税収が増える。
1年遅れてはダメなのです。

読売は「ジャニーズの関連会社が補助金を受給した約55億円について、本来は交付決定が出た21年6月期に計上すべきものを、翌22年6月期に計上したと国税に指摘された」と記事。

監査役の主張は「補助金の申請」は申請だけの行為なのでジャニーズ側は金額がいくらもらえるか確定した数字が分からないので、金額を計上できない。
理論金額は計算できても、それでは利益計上できないでしょう、という見解。

「交付決定が出た時期」の認識が読売新聞と監査役で違います。
読売新聞も国税の情報で記事を書いていると思いますので、間違った内容は書いていないはずです。

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補助金の入金処理漏れによる追徴課税の真相

補助金の入金処理漏れによる追徴課税の真相は、このような感じだったはずです。

2021年にジャニーズ事務所が補助金の申請をした。
申請が通るかわからない、また補助金の金額もはっきりしない。
⇒収入(特別利益)として計上できない
会計上、正しい処理

2021年6月期で年間の会計数字が固まったので決算数字を確定した。
決算数字確定後に税務申告書を作成する。

税務申告書を税務署に提出する前には「交付決定の通知」が届いた。
そこには金額が書いてあります。
届いた時期が「決算終了後」と「法人税申告書提出する前」という微妙な時期。

国税側の見解は、本決算の6月末では、金額は確定していないが税務申告提出前には、わかっているのだから2021年6月期に「入金計上」すべきだった。

ジャニーズ事務所側は、決算確定前に「交付決定の通知書」が届いていないのだから計上しようがなかった。

「税務申告書」は「決算数字をベース」に作成しますので、決算数字が確定した後に「交付決定の通知書」が来たのなら、わざわざ収益(加算処理)としない。

決算数字をベースに税務申告書を作成しますが、上記のように、後で数字を修正するのは手間がかかるのか?と聞かれたら、手間はかからない。

中堅の上場会社でも2021年の収益として申告しない会社が多数だと思います。
「交付決定の通知書」が2021年6月期まで届いていたのなら、当然、2021年の収益に計上します。
「交付決定の通知書(金額含む)」がいつ届いたのがはっきりとしていないため判断しにくいです。ここをはっきり記事に書いてくれたら判断しやすくなりました。

「お年玉」の税金もれ

「お年玉」の経理処理については各報道機関が記事にしています。

お年玉についての国税局の指摘は「いい指摘」だったと思います。
ジャニーズ事務所側からすれば「接待交際費」にしているので問題ないという。

ジャニーズ事務所の資本金は1000万円
年間800万円まで接待交際費を経費(損金計上)として認められています。

普通の会社で「提案制度」とかあって提案内容でお金がもらえます。
500円とか1000円とかの金額です。
経理処理としては給料で処理し所得税の対象とします。

国税局の指摘としては、当たり前のところを指摘した感じです。
いまさら「お年玉」をもらった相手に給料として処理するのも大変なので、社長のジュリー氏の役員報酬にして処理した。

以上が、ジャニーズ事務所がお年玉と補助金の税金もれで追徴課税された内容でした。
よく言われる脱税ではなく、指摘されやすいところを指摘された内容といえます。

この監査役の方は朝日新聞に対しても文句を言っています。
「(朝日の)書き方も変だよ」
この内容も書くと長くなるので、機会があれば書きたいと思います。

週刊文春23年1月19日号の記事を参考にしています。