司馬遼太郎の人気ベスト5作品は何

司馬遼太郎の人気ベスト5作品

歴史小説で司馬遼太郎さんの本は外せません。
司馬遼太郎さんの本で歴史に興味を持った人も多いかと思います。

ランキングは司馬遼太郎記念財団(大阪府東大阪市)が発表。
読者が選ぶ「好きな司馬遼太郎作品」のランキングになります。
紹介します。

1位 341票 坂の上の雲
2位 246票 竜馬がゆく
3位 171票 燃えよ剣
4位  90票 街道をゆく
5位  73票 峠

「関ケ原」「城塞」「国盗り物語」などの戦国時代の作品が上位に選ばれていないのが面白い。
幕末中心に明治時代の作品が選ばれています。(街道をゆくは例外)

1位の坂の上の雲

日露戦争を描いた作品
日本人なら読んで日露戦争のことを知っておくべき本です。
必ず読んでおく1冊といえます。

8巻あります。
8冊購入したけど挫折している人も多い。
邪道かもしれませんが、第8巻から読んでみてもいい。
第8巻は日本海海戦の話になります。
真面目な血液型A型の人には無理かもしれませんが、この本を読まないで人生が終わるなら第8巻だけでも読んでみる。

戦争を継続できない状況にあり、かろうじて勝てたことがわかります。
203高地の悲劇、無能上官の指揮での兵隊の悲惨さなど知っておくべき内容が詰め込まれています。

2位 竜馬がゆく

漫画にもなっていますが、司馬遼太郎の小説は「マンガ」のように軽く読めます。
舞台は幕末。浪人の身でありながら長州、薩摩の人間と絡みながら活躍していく。
竜馬が作った海援隊には、後に外務大臣として活躍した陸奥宗光もいました。
また竜馬が生きていたら、経済人としても大成功をおさめたと思います。

これも8巻あります。
読んでテンポが遅くなったと思ったら、そこは、飛ばして読んでみる。
飛ばし読みをしても内容がわかります。

個人的には、千葉道場の「さな子」と結婚してもらいたかった。
一生独身を貫いた千葉さな子(結婚したとの説もある)。
無縁仏となっていたのを親交のあった小田切謙明の妻・豊次が哀れみ、山梨県のお寺、清運寺(甲府駅から徒歩15分程度)に墓碑を建立。

さな子(千葉佐那)さんの言葉
「坂本さまの許嫁(いいなずけ)でありました」という言葉が悲しい。

3位 燃えよ剣

幕末に活躍した新選組副長・土方歳三の生涯を描いた作品
全2巻。
「坂の上の雲」と「竜馬がゆく」が8巻あるのに比べると全2巻の作品となっています。
よって、この本から読むのもいいかもしれません。

司馬遼太郎の作品は面白いとはいえ、どうしても読むスピードが落ちてしまう箇所があります。
そこで止めてしまうと最後まで読めません。

「坂の上の雲」「関ケ原」「城塞」などは最後の巻だけでも読めます。
最初から読んでいない分、背景などがわからない点があったとしても読み進めることができます。
さすが「竜馬がゆく」は勧めません。

4位の「街道をゆく」は興味のある地域の巻を選べばいいでしょう。
この本も読んでいて、読むスピードが落ちたら(=ちょっと面白くない)と感じたら、飛ばして読む。
十分に理解して読み進めることができます。

5位の「峠」は役所広司さん主演の映画の影響と思われます。
長岡藩の家老「河井継之助」の物語。

日本では「非武装中立」という考えを野党やマスコミが本気で言っていた時代がありました。
今の社会情勢の中では、さすがに「非武装中立」の話を聞くことがなくなりました。

河井継之助は長岡藩をスイスのような自主独立国にしようと財政を立て直し、海外商人から新型の武器を調達しました。
幕府側につかず、新政府側にもつかず「武装して中立」を守ろうとしました。
結果、非戦を貫こうとしたが新政府軍との争いに巻き込まれ敗れてしまった。

司馬遼太郎の本作品を読めば「非武装中立」どころか「武装中立」でも戦争に負けてしまうことがわかります。
大国なら「武装中立」はできるのかもしれませんが、国力が小さいと最新兵器があったとしても「力に屈服」してしまう。

長岡では戦争に巻き込んだ張本人として河井継之助を恨む者が多く、継之助の墓石は何度も倒されたそうです。

トラックいっぱいの資料

司馬遼太郎は作品を書くにあたって、作品に関係する資料(古文書など)をトラック一杯になるぐらいの量を集め、資料に目を通していました。(トランクではなくトラックです。何トントラックかは知りません)

その膨大な量の情報、知識を、私たちは司馬遼太郎の本を読むことで知ることができます。
膨大な量から「知るべき内容」を抽出し、かみ砕いてくれているのが、司馬遼太郎の作品です。

1000万円以上?の金額(=資料集めの金額)と膨大な時間をかけないと知りえない情報を、司馬遼太郎の作品を読めば得られることに感謝したい。

「坂の上の雲」「竜馬がゆく」「燃えよ剣」「街道をゆく」「峠」などは、後世の作家が書いても越えられない作品です。

歴史学者は専門性という意味で司馬遼太郎さんの上をいくでしょう。
でも読まれる作品としては司馬遼太郎を超えることができない。

私たちは、司馬遼太郎が紹介してくれた歴史を堪能できる幸せがあります。
「坂の上の雲」「竜馬がゆく」「燃えよ剣」「峠」「関ケ原」「城塞」「項羽と劉邦」「世に棲む日日」「花神」「夏草の賦」などの作品。

教科書では歴史は学べません。
司馬遼太郎の作品からは学べる。
そこが面白い。
そして学んだ歴史から現在と未来に向けて正しい行動をしていく。

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