SMAP(スマップ)の草彅剛(くさなぎ)さんの性格を知って涙

SMAP(スマップ)の草彅剛(くさなぎ)さんの性格を知って涙

草彅剛さんの優しい性格を知って涙します。
優しい人間はたくさんいます。

犠牲になることを拒まなかった男が草彅剛だった。

2016年1月18日
草彅剛が口を開いた。

「今回、ジャニーさんに謝る機会を木村君がつくってくれて、今、僕らはここに立っています」

「5人で、ここに集まれたことを安心しています」

SMAP全員が生放送で謝罪会見
草彅剛の言葉は
彼が考えた言葉ではない。
放送作家が言うべき内容を書いて、SMAPがその内容どおり「しゃべる」だけ。
本来ならば

「社長へ謝罪すべき」との命令が届いた

草彅剛の言葉は
放送作家の手を離れ、ジャニーズ事務所のトップが考えた言葉だった。
ジャニー喜多川氏ではなく、創業家のもう一人の女性が考えた言葉。

当初、放送作家が考えた「しゃべる内容」は
(ファンやSMAPを好きな人たちへ)迷惑をかけたことへの謝罪だった。

これはSMAPと一緒に番組を育ててきた1人として、これからもSMAPが仲間割れせずにグループでやっていけるように考えた内容だった。

番組関係者はファンと同じように「これからも5人で1つになりSMAPの活動を続けてほしい」と願った。

テレビを通して沢山の人を笑顔にしてきた彼らに、悲しい言葉を言わせたくなかった。

番組が始まる1時間前に
話す内容に「ストップ」がかけられた。
創業家の女性から。

番組で絶対に言うべき内容が「今まで25年以上一緒にやってきたメンバーの1人が社長に謝る機会を作ってくれたおかげで、僕らはここに立てています」だった。

放送作家は「この内容を、絶対に言わせないとダメなんですか?」と事務所の人間に聞いた。
事務所の人間は、力強くうなずいた。

なぜなら事務所のトップの命令。
当然従わなければならない。

SMAPの分裂が始まった

謝罪の言葉を言わせることでSMAPは元のSMAPには戻れない。
裏切らなかった1人(善)と裏切ろうとした4人(悪)に離されてしまう。

あと1時間
時間がない。
「SMAPを分裂させる言葉」を誰に言ってもらうのか。

スタップたちは悩んだ。

出した答えは
草彅剛

彼の「優しさ」に甘えるしかない。

頼まれることが、どんなに辛いことなのか。

草彅剛の楽屋をノックした。
「言ってほしい言葉があります」
その言葉を見せた。
彼はその言葉をじっと見つめていた。

草彅がその言葉を見つめている時に、放送作家は胸が張り裂けそうだった。
スタッフは、なぜその言葉を言わなければいけないかを話さなかった。
いや、話せなかった。

草彅はスタッフに言った
「わかった」

草彅剛は
自分がその言葉を言えばSMAPがどうなるかが分かっている。
そして、この言葉を誰が言わせようとしているのかも

草彅剛は「わかった」と一言だけ言い。
何もスタップに聞くことはなかった。

だぶん
自分が言わなければ、
誰かが辛い役割をはたさなければならない。

草彅は
嫌な役割を黙って飲み込んだ。

謝罪会見は
木村拓哉
稲垣吾郎
香取慎吾
リーダーの中居正広
草彅剛と続いた。

前の4人の言葉と違い
草彅剛だけが
「社長への謝罪そして木村拓哉への感謝の言葉」を伝えた。

その言葉で25年間頑張ってきたグループの分裂が加速した。

草彅剛は「本来、これを話すのはリーダーの中居さんでしょう」と正論を言えたはずなのに、黙って受け容れた。

テレビを見ていた人たちは誰も知らない。
自分1人で嫌な役割を引き受けた男の「優しさ」を知らない。

記事内容は文芸春秋 創刊100周年2023年1月号「小説20160118」鈴木おさむ氏の内容を基にしています。
写真はReal Soundから使用。テレビドラマ「罠の戦争」