小椋佳の人生の終わり方「全国コンサートツアー」最後の公演

小椋佳の人生の終わり方「全国コンサートツアー」が23年で最期の公演となる

小椋佳さんの全国コンサートツアー「余生、もういいかい」
小椋佳さんの最後の全国コンサートは2023年1月18日が最終公演です。
小椋佳さんの歌を聞く機会が少なくなります。

8年前に「生前葬コンサート」を実施。公演にくる人たちが「香典」の代わりにチケットを購入、そのお返しに小椋佳さんが100曲歌いあげるという小椋佳さんなりの「お別れ会」

その時の白い作務衣の姿が自分の「死装束」と呼んでいる小椋佳さん
「この格好でず~と過ごしているんだけど、一向にお迎えが来ないんだよ」と笑う。

小椋佳さん
「俺たちの旅」や「シクラメンのかほり」「愛燦燦(あいさんさん)」など数々の名曲を生み出し、もちろん自分でも歌う。
「シクラメンのかほり」は布施明さん
「愛燦燦(あいさんさん)」は美空ひばりさんが歌って大ヒット曲になっています。

小椋佳さんは東京大学法学部卒で日本勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。銀行員でありながらシンガーソングライターとして活躍した。

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留学時のバス乗り放題旅が歌の原点

社会人になってからアメリカへ留学(銀行のお金で留学)
留学先はシカゴのノース・ウエスタン大学
大学には、ほとんど行かない。
その代わり、アメリカ中を旅した。

99ドルで3ヶ月間バス乗り放題のチケットを購入して旅を開始。銀行からは1日10ドルしか支給されなかっため小椋さんは考えた。仲良くなった学生の実家を聞き出し親御さん宛に手紙を書いた。

「私は息子さんとお友達になりました。息子さんから聞いた故郷の風景を見たくなり近くまで行く予定でいます」その後、友人の故郷に行くと、手紙を受け取った親御さんが待っていて「ぜひ家に寄ってください」
親御さんについていって食事をごちそうになった。

食事をごちそうになっていると、必ず親御さんが聞いてきた「今日は何処に(どこに)泊まるんだい?」小椋さんは健気に(けなげに)答える。
「近くのYMCAに泊まる予定です」「なんでそんなところに泊まるんだい。息子の部屋が空いているんだから泊まっていきなさい」と必ずこういうパターンになったそうです。

このようにして食事代や宿泊代を節約して旅行した。
友人たちの家を渡り歩いている途中、ある田舎町をバスで揺られている時に歌詞が浮かんだ。
「夢の語らいは、小麦色した帰り道、畑の中のもどり道~」のちに中村雅俊さんが歌い、大ヒットした「俺たちの旅」の歌詞になりました。

アメリカ留学時のバス乗り放題旅で「俺たちの旅」の歌ができました。
このヒット曲がなければ、小椋佳という歌手は誕生していなかったかもしれません。
この時の経験が小椋佳の原点になった。

歌を諦めなかったから音楽を続けられた

今と違い副業が全く認められていない時代にレコードを発売。
人事部長から呼び出され「小椋佳」としての活動を辞めるように言われた。
最終的には、顔出ししないことを条件に活動を認めてもらえた。

お堅い銀行員で人事部長から圧力を受けたら、銀行の方針に従う人が多いでしょう。
ギリギリまで銀行と折衝したからこそ、音楽と繋(つな)がりが持てた。
お蔭で、私たちは小椋佳さんの曲を楽しむことができています。

小椋佳さんは49歳で銀行を辞めた。
その後東京大学法学部に学士入学し1年で卒業、あっという間に卒業してしまったので物足りなく、フランス語を独学し、東京大学文学部の学士に再入学そのまま修士まで進んだ(哲学専攻)
小椋佳さんの生き方は、定年後の人たちの参考になるかもしれません。

大病を経験しての気づき

実は小椋佳さんは胃ガンで胃の4分の3を切除しています。胃だけでなく周囲のリンパ節や胆のう及び副腎の片方も切除しました。元々医者嫌いだった小椋さんは、49歳で銀行を退職してから8年間、1度も健康診断を受けていませんでした。たまたま受けた人間ドックでガンが見つかり、無事生還できました。

小椋佳さんは言う
「人間は生きようと思って生きているわけではない。なぜかわからないけど生きている。何かに生かされている」

色紙にサインを求められると、このように書くそうです。
「あなたを生かし、動かしている、そもそもあなた自身の存在に、あなたは気が付いていますか?」
ガンで死の淵をさまよった小椋佳さんの思いが色紙に書かれます。

「自分が生かされている」ことを感じながら、最後の全国コンサートツアーで小椋佳さんの歌を聞けた人たちは最高のプレゼントになりました。


このブログの内容は週刊新潮22年12月29日号の記事内容を参考にしています。

小椋佳の人生の終わり方「全国コンサートツアー」公演は終了しました。
しかし小椋佳さんの曲を聞くことはできます。
曲を聞く限り「最後の公演」とはなりません。